平成 22 年 5 月改訂
長野FC

1.ポゼッションフットボール

ポゼッションフットボール(Possession Football)とはサッカーの戦術のひとつである。

ポゼッションとは和訳すると「所有、所持」という意味であり、サッカーにおいてはボールをキープしている状態をボールポゼッションなどと呼ぶ。

ボールを持っている限り、相手に得点を奪われる可能性は無いという考え方が元になっており、チーム全体でパスを回して、自チームが常にボールをキープすることで試合の主導権を握ろうという戦術である。

特徴

ポゼッションフットボールでは、確実性の高いショートパスを多用し、徐々にラインを押し上げて攻め上がる。攻撃が行き詰ったときは無理に攻撃してボールを奪われるよりは守備的ミッドフィールダーやディフェンスラインまでボールを戻して、再びディフェンスラインからのビルドアップ(攻撃の組み立て)を行う場合が多い。そういう場面で作られた時間を生かし、各選手がスペースを作りチャンスを生み出そうとする。

よって、ミッドフィールダーのパス能力はもとよりディフェンダーにもパスやビルドアップの能力が求められ、チーム全体のポジショニング・オフザボール・オンザボールの動きの質が求められる。高いテクニックを持つ選手を多く抱え、組織的なプレーを得意とするチームに向いた戦術である。

高いレベルにおいては試合の主導権を握り積極的に仕掛けていく戦術となるが、低いレベルでこれを行なった場合にはボールを奪われないようにしているだけの消極的な戦術となることもある。また、相手チームがディフェンスラインを極端に下げて守備を固めている場合はボールキープは行い易いもののスペースが生まれ難く動きが停滞することもある。

しかし、攻撃は停滞するかも知れないが、ボールをキープしている限り相手に攻撃されることもない。つまり、味方選手が試合中に疲労してきたら、走る距離を最低限に抑え、わざと攻撃に結びつかないパスの交換を行うことによって、疲労回復までの時間稼ぎをすることが可能になる。同時に、相手チームはボールを奪わなければ攻撃することが不可能なので、どうしてもボールを追いかけて走らざるを得ず、結果として敵選手は体力的に消耗してしまう。

2.ムービングフットボール

ムービングフットボール(Moving Football)とはサッカーにおける攻撃戦術のひとつのスタイルで日本代表が目指すスタイルの人もボールも動くサッカーのことである。

概要

フリーランニングやポジションチェンジを繰り返すなど、人が動くことによって味方からパスを引き出してボールを動かす、動いたボールに連動してまた人が動いていくのが特徴。味方のプレーを予測してパスが出される位置へ先行して動き、さらに次のプレーを予測して一見関係ないところで選手が動き出す第 3 の動きを行うことによってディフェンスにとって予測不可能なプレーとなっていく。

それよって流動性が生まれ、ダイレクトプレーにより次々とオープンスペースへ展開していくことが可能となる。それによって数的有利な状況も生まれてくる。

人もボールも動くサッカーではボールがないところでの動き(オフ・ザ・ボールの動き)が重要視され、味方からパスを引き出すために積極的に走らなければならない。スピーディに展開していくためには少ないタッチでパスを回すことも重要だとされている。また、味方のプレーを予測して次々と先行動作を続けるにはチーム全体でのプレーの共通イメージが必要であり習熟を必要とする。

最大のメリットはチーム全体で攻撃を組み立てていくので突出した能力を持つフォワードやミッドフィールダーがいなくても得点を得ることが出来る点である。しかし、積極的なフリーランニングは多大なスタミナを消耗し、ポジションチェンジは守備時における陣形やバランスを崩すことになるというリスクも併せ持つ。

尚、元となる考え方はトータルフットボールにあるといわれている

3.サイドアタック

サイドアタックとはサッカーにおける戦術の一つで、サイドを使った攻撃を指す。サイド攻撃とも呼ばれる。

この戦術を重視する場合はサイドに位置するウイングやサイドハーフなどのポジションに優秀な選手が置かれることが多い。フォーメーションなどもサイドに人数を多く置いたフラット形の 4-4-2 や 4-5-1 或いは 4-3-3 などが好んで使用されることが多い。

ピッチの中央には選手が密集し易く全方位から囲まれる危険性などもある。しかし、ピッチの両サイドではサイドラインより外に選手はいない。さらに片側のサイドに選手が密集してしまうと逆のサイドに大きなスペースが出来るので密集し難い。

そのため、ピッチの両サイドは比較的プレッシャーが少なくスペースも空き易い。片側のサイドで攻撃を展開すると逆のサイドが空き易いが、両サイドで攻撃を展開させる事で選手がピッチ全体に散らばって中央が手薄になる。

現代サッカーにおいて攻撃ではピッチを広く使いスペースを作る事を重視する事が多い為、サイドアタックが重要視される。

4.カウンターアタック

カウンターアタック(Counter attack)とは、スポーツにおいて「反撃」、「速攻」の意味で使用される用語である。単にカウンターとも呼ばれる。

特に、敵が攻撃に出てくるところを防ぎ、即座に攻撃に転じる事、あるいはその攻撃の勢いを逆に利用して攻撃する事を指す。

本来は軍事用語だが、サッカーなどの球技や、ボクシング、格闘技などの戦術に転用されている。

5.カテナチオ

カテナチオ、カテナッチョ(Catenaccio)とは、1950から1960 年代にイタリアで流行したサッカーの戦術である。

解説

ほとんどの選手が自陣に引いてしっかり守るという堅い守備で、前線の数人だけで素早く得点を取るというイタリアのカウンター・サッカーの戦法をこう呼ぶ。

サッカーにおいて堅実な試合運びを好み、内容よりも結果を重視するイタリア人らしい戦術である。あまりにも守備を重視した戦術であったため、それが転じて、現在ではイタリア・サッカーの守備的な戦い方そのものを表す。

カテナチオという言葉自体は、イタリア語で「カギを掛ける」、「閂(かんぬき)」という意味である。ディフェンスラインの後ろで左右に動くスイーパーの動きがかんぬきを差す動きに似ていたところから、そう名付けられた。また、カギを掛けたように守備が堅い戦術という意味もある。

6.マンツーマンディフェンス

マンツーマンディフェンス(Man-to-man defense)とは、球技におけるディフェンス(守備)の戦術の一つで、ゾーンディフェンスと対になる戦術である。

マンマークディフェンス(Man-mark defense)とも呼ばれる。マンツーマン或いはマンマークとは1対1のことを示し、マンツーマンディフェンスでは常に特定の相手選手に対して1対1でくっ付いて(マークして)ディフェンスする。

メリット

基本的に守備を行う相手選手を選べる為、攻撃の能力が高い選手に対して守備の能力が高い選手をディフェンスにあてて相手チームのエース(主力選手)を封じ込めることや、身長の高い相手選手に自軍の身長の高い選手をあてる、足の速い相手選手に自軍の足の速い選手をあてるといったことができる。

また、守備を行う相手が明確であり、1対1による守備を基本とするため、守備の戦術をそれほど理解していない初心者でも比較的容易に行うことができる。

デメリット

マンツーマンディフェンスでは、攻撃側の選手のポジショニング(位置取り)に守備側の選手の配置が依存しやすく、ディフェンスの選手同士の間隔などのバランスが保ちにくい。それによってディフェンスの選手が抜かれるとほかの選手がフォローし辛い場合がある、ディフェンスの選手が存在しないスペース(空間)を作られ易いといった弱点がある。

サッカーのマンツーマンディフェンス

現在サッカーではマンツーマンディフェンスはあまり一般的ではない。キープレーヤー(重要な選手)に対して 1人だけマンツーマンディフェンスを行うことがある程度である。

サッカーでマンマークが廃れていった理由は「人に付ききれなくなったこと」であると言われている。スペースへ走りこむ選手へパスを出されるとマンマークでは付いていけなくなってしまうので、パスの出されるところへ先回りする方法によるゾーンディフェンスが有効である。

7.ゾーンディフェンス

ゾーンディフェンスとは、球技におけるディフェンス(守備)の戦術の一つで、マンツーマンディフェンス(マンマークディフェンス)と対になる戦術である。

概要

特定の相手選手に付かず、自陣の守備エリアを各ゾーン(地域、エリア)に分けて、それぞれディフェンスの選手が各ゾーンを受け持ち、自分の受け持つゾーンに侵入してきた相手選手に対して守備を行うというものである。また、ボールホルダー(ボールを持っている選手)に対しては原則的に最も近い位置にいる選手が守備を行う。

メリット

ゾーンディフェンスの利点としては特定のマークを持たないため、守備側の配置がオフェンスの選手の位置や動きに依存しにくく、ディフェンスの選手同士の間隔などのバランスが保ちやすく、それによってディフェンスの選手が抜かれてもほかの選手がフォローし易いという点と、ディフェンスの選手が存在しないスペース(空間)を作りにくいという点などがあげられる。

また、ディフェンスの選手同士の連携が上手く取れていれば、個々の選手の1対1における守備能力がそれほど高くなくとも失点を防ぐことができるとされている。

デメリット

ゾーンディフェンスにおいては、自分の受け持つゾーンに侵入してきた相手選手に対してマークを行う。自分のゾーンから他の選手が受け持つゾーンへ出て行こうとする相手選手に対して、マークの受渡しを行う(自分のゾーンを忠実に守る)かマークの受渡しを行わずそのままついて行く(受け持つゾーンを交換する)かはそのときの状況やチームの方針などによって異なるが、マークの受渡しを行うとオフェンスの選手とディフェンスの選手の間に身長差や能力差といったミスマッチが発生しやすく、それによってオフェンスの選手に有利になってしまうことがある。

また、マークの受渡しはゾーンとゾーンの境界で行われるため、受渡しの際はディフェンス同士の連携が重要である。連携が悪いと、どちらのディフェンスの選手のマークなのかあやふやになるなど、隙ができやすい。一方、マークの受渡しを行わないとゾーンの配置が崩れ守備のバランスが悪くなってゾーンディフェンスの利点が失われてしまったり、本来は適していないエリアの守備を行わなければならなくなる、

またそれぞれのマークマンが決まっていないため、ノーマークのオフェンス選手が出やすい、リバウンドが取られやすい(バスケットボール)等の問題が発生する。

8.プレスディフェンス

プレスディフェンス(Pressdefense)とは、サッカーやバスケットボールなどの球技におるディフェンス(守備)の戦術の一つである。

概要

プレス(Press)或いはプレッシング(Pressing)とも呼ばれ、「プレスをかける」といった使い方をされる。

プレスとは「押す」とか「圧縮」という意味の言葉であり、ディフェンスの選手が積極的にオフェンスの選手に寄って行き、プレッシャー(圧力)をかけ、オフェンスの選手を相手の陣地へ押込む(プレスする)ようにしてボールを奪うディフェンス。ゾーンディフェンスと組み合わされるとゾーンプレスと呼ばれる戦術になる。

プレスディフェンスは素早くオフェンスの選手に寄って行き、プレッシャーをかけることで、オフェンスの選手に前方へのパスを出させないなど、オフェンスのプレーをある程度制限させることができる。また、ゴールを守るためのディフェンスではなく、積極的にボールを奪う事を目的としたディフェンスであり、攻撃的なディフェンス、或いは積極的なディフェンスだといわれる。

また、より相手ゴールに近いところでプレスをかけ、ボールを奪うことで良い位置から素早くカウンター(速攻)に転じることが出来る。しかし、守備が前掛りとなるため後方が手薄になり、守備のバランスも崩れやすいのでリスクも大きい。そのため、プレスディフェンスを行なうには守備のバランスを保ち、的確にカバーリングを行うなど組織的な連携が要求される。

プレスディフェンスは通常のディフェンスよりも多くの体力を必要とする。そのため、体力が不足してプレスが甘くなるとプレスディフェンスの欠点ばかりが露呈して危険な守備になることもある。普段は使用せず体力を温存し、勝負どころでのみプレスをかけるといった使われ方もされることがある。

サッカーでは相手の陣地へ押込むようにしてボールを奪うディフェンスの他に、複数人の選手でボールホルダーを囲い込んでボールを奪うディフェンスもプレッシングと呼び、後者のディフェンスを示すのが一般的である。囲い込みを行なうには選手の配置がバランス良くコンパクトに保たれている事が重要である。これらの事を行なうにも、プレスをかける事で出来てしまうスペースをコントロールするにもゾーンディフェンスが有効であり、プレスディフェンスとゾーンディフェンスは相性の良い戦術とされている。

プレスディフェンスではディフェンスをコンパクトに保つ為にラインコントロールも重要であり、高い位置で積極的にボールを奪う為にラインを高く保ちプレスをかける場合と、自陣に誘い込んでボールを奪う為にラインを低くして(リトリートして)プレスをかける場合がある。

ラインを高く保つプレスは攻撃性が高く、より良い位置でボールを奪いショートカウンターに繋げる事が出来るが、後方のスペースなども大きくなるためハイリスクハイリターンである。一方、ラインを低く自陣に誘い込むプレスは相手が積極的に攻撃してこなければ効果を発揮しないが、引いて守っている為に危険性は少ない。相手を自陣に誘い込みボールを奪う事が出来ればロングカウンターを狙う事が出来る。また、サッカーでは高い位置からプレスをかけてボールを奪いに行くことをフォアチェック、プレッシングを基軸にするサッカーをプレッシングサッカーと呼ぶ。

9.ラインディフェンス

スウィーパーやリベロを置かず、ディフェンダーがゴールラインと平行な直線上に横一列に並び、平行なラインを保ちながらポジションを上下してスペースを埋めるゾーンディフェンスの1つの手法。平行なラインを保つことでディフェンスの裏のスペースを消すなど、スペースのコントロールを行いやすい。これにより全体の布陣をコンパクトに保つことも行いやすいので、ゾーンディフェンスに適したディフェンスだと言われる。

状況に応じてオフサイドトラップをかけることもあるが、以前と比べるとオフサイドのルールが攻撃側に有利に変更されたため、リスキーなオフサイドトラップを意図して多用するチームは少ない。一人のディフェンダーが相手の選手へアタックをかける(チェックする)場合は、残るディフェンダーはカバーリングをするためにラインを崩してポジションを修正するか、残りのディフェンダーでラインを形成してディフェンスを行う。

過去においてはラインは常に一列に保とうとするラインディフェンスも多かったが、現在のラインディフェンスは状況に応じて部分的にラインを崩すことが多い。また、サイドバックをやや上がり目にセンターバックをやや下がり目に配置して始めから若干崩し気味のラインを形成するチームも多い。

一般的にラインディフェンスは 4バックで行われることが多い。3バックによるラインディフェンスが余り見られないのは、3バックでは人数の少なさからラインコントロールは容易であるものの、3人では最終ラインのスペースを埋めきることが難しくリスクの高いディフェンスだからである。特異な戦術ではあるが、3バックの直線的なライン形成を非常に重視したラインディフェンスとして、日本ではトルシエジャパンで採用されたフラット・スリーが有名である。

10.ディフェンス

サッカーにおけるディフェンス(Defense)とは敵のオフェンスから自軍のゴールを守り、敵に得点されることを防ぐ行為である。

概要

ディフェンスの目的は自軍のゴールを守り失点を防ぐ事と相手からボールを奪う事である。状況や戦術によってこれらの比重が変わり、リードしている状況や失点しないことを重視する戦術では自軍のゴールを守る事を、リードされている状況や得点を重視する戦術ではボールを奪う事を重視する。自軍のゴールを守る事を重視するディフェンスを消極的、ボールを奪う事を重視するディフェンスを積極的と見做すこともある。

ディフェンスにおいてはディフェンダーとゴールキーパーの選手が重要な役割を担うが、サッカーではボールを奪った地点から攻撃できるため、より相手ゴールに近い位置でボールを奪い攻撃に移ることが重要視されて来ておりフォワードの選手の守備の負担も増えてきている。また、ボールを奪ったときに攻守が入れ替わり、守備から素早く攻撃に移ることをカウンターと呼ぶ。

(ア)ディフェンスの用語

①インターセプト(パスカット)

インターセプト(Intercept)或いはパスカット(Passcut)とは相手が出したパスを途中で止めてボールを奪うことである。相手選手が誰にどんなパスを出すか読み、素早く反応することが重要である。

②ショルダーチャージ

ショルダーチャージ(Shouldercharge)とはボールを持った相手選手の肩に自分の肩をぶつけて、バランスを崩させる行為である。単にチャージとも呼ぶ。それによってボールを奪ったり、攻撃を妨害したりすることが出来る。直接体が接触するので、体格の良い選手が有利なプレーである。しかし、ボールを持たない選手に対して行った場合や肘より下の部分を使った場合、過度に激しく危険な場合は反則(ファウル)となる。

③スライディングタックル

スライディングタックル(Slidingtackle)、または単にタックル(tackle)とは相手選手が保持しているボールに足先から滑り込んでボールを奪うことである。体を投げ出して滑り込むので、失敗すると立ち上がるのに時間がかかり大きなロスとなってしまう。相手選手の足を狙ってスライディングタックルした場合や後ろから行った場合は反則(ファウル)となる。スライディングタックルの結果として相手選手が転んでも、足がしっかりボールに行っていればファウルとならない。

④クリア

クリア(Clear)とは自陣ゴール前にあるボールを蹴ってゴールからボールを遠ざけ、目前に迫った失点の危険を回避する行為である。クリアが不十分でゴール前にボールが残ってしまうと相手にミドルシュートなどのセカンドチャンスを与えてしまうことになり大変危険であるので確実に遠くに蹴ることが重要である。出来る限り遠くの相手ゴール方向へ蹴り返すのが良いとされるが、それが難しい場合はタッチラインの外やゴールラインの外へ蹴り出して、相手にスローインやコーナーキックを与えてもプレーの流れを切って守備を立て直すことが優先される。

⑤マーク

マーク(Mark)とは守備時に相手選手に張り付くことである。マークを行っている守備の選手をマーカー(Marker)、マークすることをマーキング(Marking)と呼ぶ。

⑥マンマーク

マンマーク(Manmark)とは特定の相手選手に対して常に張り付き、1対1で守備を行うことである。相手チームの中で特に優れた能力を持った選手に対して行われることが多く、相手選手に自由にプレーさせないことを目的とする。

⑦チェッキング

チェッキング(Checking)或いはチェック(Check)とはボールを持っている相手選手に素早くプレッシャーをかけることである。ある方向に動き出そうとする前に、一旦逆方向へ2、3歩ダッシュしてから急に方向を変えてダッシュする動きのことを示す場合もある。

⑧チェイシング

チェイシング(Chasing)或いはチェイス(Chase)とは相手選手を追いかけることである。

⑨カバーリング

カバーリング(Covering)或いはカバー(Cover)とは守備の空いているスペース(空間)を埋めることである。直接ボールを奪うプレーではないが、相手選手のプレーの選択肢を狭めスペース(ディフェンスのいない空間)を有効活用させないようにして攻撃を阻むことが出来る。また、相手選手のドリブル等によって味方選手が抜かれたときに助けに行くことを示す場合もある。1人の選手がチェックに行き、空いたスペースを他の選手がカバーすることをチェック&カバーやチャレンジ&カバーと言う。

⑩ディレイ

ディレイ(Delay)とはボールを持った相手選手をマークしつつもボールを奪いに行かず、後ろに下がりながら相手に時間をかけさせて前に進むのを遅らせようとすることである。カウンター等をされて守備の陣形や人数が整っていないときに、時間を稼いで不利な状況を脱することを目的として行われる。

⑪サンド

サンドとはボールを持った相手選手を2人以上の守備の選手で挟み込むことである。語源は挟むという意味のサンドイッチ(sandwich)である。

⑫ワンサイドカット

ワンサイドカット(one-sidecut)とはボールを持っている選手の進行方向を一方のみを塞いで、もう一方のディフェンスの有利な方向へ意図的に誘い込む守備のことである。

(イ)ディフェンスの戦術

①フォアチェック

フォアチェック(Forecheck)とはサッカーにおける戦術の一種である。前線から積極的にプレスをかけて、できるだけ相手ゴールに近いところでボールを奪い攻撃に転じようとする守備戦術をさし、たとえば相手DFがパスをまわして展開を図ろうとする際にFWやMFの選手がチェックに行き、相手のミスやボールの奪取を狙うものである。しかし前線の選手の負担が大きくなり、結果として得点力が落ちる場合もある。リードされている際には、相手側が時間稼ぎのためにベースラインでパスをまわすことが多く、リードされている側はより積極的にフォアチェックを行う傾向がある。

②リトリート

リトリート(Retreat)とは退却や撤退といった意味の言葉で、サッカーにおいてはほとんどの選手が自陣に下がりゴールを堅く守る戦術のことである。下がって守る事でゴール前のスペースを無くして相手にチャンスを与えないように出来るが、下がり過ぎてしまうとミドルシュートを容易に打たれることになる。状況に応じて多くのチームが使う戦術であるが、リードしているチームが点差を維持したまま逃げきろうとするときやロングカウンターを狙うチームが多用する。

11.ゾーンプレス

ゾーンプレスとは、球技におけるディフェンス(守備)の戦術の一つで、ゾーンディフェンスおよびプレスディフェンスのうちの一つである。ゾーンの考えを基本としつつ、積極的にプレッシャーをかけチェックに行く戦術。そのため、ゾーンディフェンスやプレスディフェンスと比べ体力が必要で、ディフェンスが抜かれた場合のカバーができないと簡単に得点されてしまうデメリットがある。

12.バイタルエリア

ペナルティーエリアの中でゴール幅と同じ幅のエリアの事。ペナルティアーク付近のペナルティエリアの正面ライン(幅40mくらい)から少し外側のエリア。DFとMFの間のスペースのこと。ペナルティアーク周辺のDFラインとMF(セントラルMF・守備的MF)の間のスペース。

解説

ゴールに繋がるラストパスの起点となる重要なエリアを指す。ワンツーパス、楔パス、ドリブルからのパスやシュートなど、この付近からゴールに結びつくチャンスが生まれることが圧倒的に多い。その為、現代サッカーでは攻撃側、守備側共に重視しているエリアである。監督の戦術指導や選手間では、この付近のエリアを「D(ディー)」とだけ呼ぶことも多い。

13.パワープレイ

パワープレイはサッカーの戦術の1つ。フォワードに多くの選手を配置した上で、ロングパスをフォワードに放り込み、そうしたパスから直接、またはこぼれ球からゴールを狙う。

パワープレイは、もともとはアイスホッケーの用語である。アイスホッケーでは、フィールドプレーヤーが6人と少ないうえに、悪質なファウルに対して、時限つきの退場処分が課されることが多い。逆に言えば、人数が多い時間に効果的に得点を取ることが求められる。そのための戦術として、余った人間をシュートエリアに半円状に配置したり、ゴール前に選手を立たせるといった、攻撃に偏った戦術が開発されてきた。

現代サッカーは、11人のうち、得点を常に狙うFWが1~2人程度と、より守備に偏った戦術が取られるようになってきている。しかし、何らかの理由で守備より得点が必要な状況で、FWの人数を3~4人に増やす場合がある。これをアイスホッケーの用語を転用して「パワープレイ」と呼ぶ。

相手のDFの人数と同じか、それ以上のFWを配置する場合で、試合途中での変更を指す場合が多い。

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